シャーロット俳句会―6月度作品抄をご紹介

(*)今月の一句

夏雲の跨ぐリヨンの川ふたつ      かずみ

 俳人は句材集めに旅をします。芭蕉も一茶もしかり。でもこの旅吟には欠点もあります。どうしても説明的、報告的な句になるからです。この句は、かずみさんがフランスを旅された時のものです。この句では情緒ある川の街リヨンを語る言葉は全く入れていません。また、「夏雲や」と一拍して、旅空の素晴らしさを詠ってもいません、夏雲からリヨンの川までを一気に詠み下し、逆にリヨンの街でのことや旅でみた夏雲の風景を読者に思い出させています。私もこの句をみて当時の日記や写真を探し思い出にふけった程です。何と素直で、単純で、読みやすく、余分なおしゃべりの無い、歯切れのよい句なのでしょう。

 

サルビアの母を忘れぬ花のいろ          千恵

二重虹天の父母想はれて         千恵

はしゃぐ子の声の向かうに夏の海     千恵

夏帽子木々の間に見え隠れ         美幸

合歓の花続く今宵の宿にまで        美幸

今頃は昼寝の頃か父母のこと        美幸

喧騒に負けじと激し蟬の声         淳子

夏雲や金門橋に波をどる          淳子

夕涼み二人となりし話題のみ        淳子

巣に残しおかれし卵夏日落つ        敬子

夏雲や飛行機雲の果てしなく        敬子

花束を抱へ家路の合歓の郷        敬子

草刈りの跡にむらがる鳥の群       精孝

熱帯夜眠れぬままに朝の音        精孝

座禅する雨後の石楠花輝きて       精孝

夏怒濤迷ひの紐の絡まりぬ        きなこ

木苺や身を乗り出し摘まんとす      きなこ

我が家は蜥蜴親子の隠れ宿        きなこ

うっすらと額に汗す朝の庭        イサ子

石楠花に励まさらるる山の道       イサ子

 

雷きたるいつものドラマあの場面     イサ子

時の日や時間を止めてカリブ海         由美

常夏の民の生き様学びたし          由美

父の日やただ無事祈る八十路坂         由美

パリジャンに混じり聴くジャズ薄衣       かずみ

夏雲の跨ぐリヨンの川ふたつ           かずみ(*)

浮輪抱きみる子の夢よどこの海       かずみ

雨止みて音一段と夏怒濤          みどり

夏山の風ありがたし峠茶屋         みどり

散歩する人に挨拶合歓の花         みどり

石楠花やその一輪をお茶室へ        桜子

岩山に万の石楠花異土の里         桜子

青芒急げ華展の時近し           桜子

からつぽの島の分校子供の日        一広

風鈴は風のたは言風の歌          一広

風呂敷と言ふおおらかさ夏の旅       一広

☆俳句は難しそうで自分には無理だろうな〜…..と思っていらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。まずは興味をもつことから始まります。『俳句を詠んでみたいな』と思った方は、お気軽にご相談ください。

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